フランス語の学習を始めてから、フランス語を自ら操れる一つの言語として習得するためには、学習の継続が何より大切です。
しかし、学習のやり方によってはフランス語学習を難しく感じ、面白くなくなってしまい、最終的には挫折してしまうということもあり得ます。
このような挫折を防ぐためにも学習の中に色々なコンテンツを含めることが必要となるでしょう。
その一つがフランス語映画を活用する学習方法です。映画を見て、そのストーリーを楽しみ、同時に生き生きとしたフランス語を学ぶことができます。
この記事では、フランス語映画を活用した学習のメリット、勉強方法、おすすめの映画を厳選してまとめました!
目次
映画を活用してフランス語を学ぶメリット
フランス語を初めて学ぶ学習者にとっては、フランス語文法を学んだり、フランス語の単語を増やしたり、基礎をしっかりと勉強することが大切です。
そのためには参考書や問題集を使用したり、単語集を使って学んだり、ときにはアプリを活用して楽しみながら学習していくことが求められるでしょう。
しかし、ある程度フランス語の成り立ちや単語を覚えた学習者が次にするべきことは、実際にフランス人が日常的に使っている言葉を聞き取り、また自分でもその表現を使えるものにしていくための学習をすることです。
それに打ってつけの学習法の一つが映画を見ること。教科書や参考書には出てこない表現をたくさん浴びて、機会があれば自分でもフランス語で会話するときに使ってみると良いでしょう。
また、実際に会話をする状況では、自動車の音や飛行機が飛ぶ音、人の声などたくさんの雑音があるものです。
参考書に付いているCDは、静かな環境で収録されているので、初めてフランス語を学習する人には良い教材ですが、日常生活の中で会話をするシチュエーションに慣れるためには、映画のように日常の雑音の中で撮影されたもののほうが質の良い学習ができるでしょう。
同時にフランス語で話されるフランス映画を見ることは、フランス人の日常生活を垣間見たり、フランス人の考え方を知ったりする良いチャンスであるとも言えるのです。
フランス映画をフランス語学習に取り入れるときの注意点
フランス映画でフランス語学習をするメリットは前述しましたが、学習の際の注意点も知っておく必要があります。
フランス語学習者が映画のセリフから表現を覚えて、会話をするときにそれらの表現を使えるといった大変大きなメリットがあるのですが、一つだけ注意しなければならないことを挙げておきます。
それは映画によっては、スラングがたくさん出てくるものがあるということ。スラングを知っておくことは、実際の会話の中でフランス人がそれを使用したときにその意味が分かるというメリットがあります。
しかし、その半面スラングを覚えてしまって私たち外国人が場所をわきまえずに使ってしまうと、誤解が生じたりして問題になってしまうといったことも起こり得るのです。
ですから、スラングは意味を知っておく程度にとどめ、実際に使用することには慎重になったほうが良いといえるでしょう。
そのため、映画以外にフォーマルなフランス語をしっかりと教材を通して学ぶのも並行してやっておくことをおすすめします。
フランス語学習に活用できるおすすめ映画【6選】
映画を通じてフランス語学習をするべきメリット・注意点をまとめてきましたが、フランス語学習に活用できる映画には様々なものがあります。
ここでは、フランス語の基礎を学び終わってこれから映画による学習にチャレンジする学習者から、ある程度フランス語の知識があり、ネイティブとの会話を楽しむことができる中・上級の学習者までそれぞれに合ったフランス語の映画を紹介していきます。
- プチ二コラ
- ぼくの好きな先生
- コーラス
- アメリ
- 大統領の料理人
- 最強のふたり
プチ二コラ
1950年代後半から1965年にかけて出された子供向けの文学作品が2009年に映画として発表された「プチ二コラ」。
ファミリー向け、特に子供向けの映画なので、フランス語の初級学習者にとっても分かりやすい映画と言えるでしょう。
両親の愛情に恵まれた家庭生活、友達との楽しい学校生活で文句のない日常生活を送っていた主人公二コラに、ちょっとした不安がよぎったことから始まる物語です。
二コラの友達に弟が生まれ、両親の愛情が全て弟に向いてしまったという友達の愚痴を二コラが聞き、自分にももし弟が生まれたら自分の存在は両親にとって必要がなくなり、森に捨てられてしまうのではないか、そうなったらどうしようかという不安でした。
自分に弟ができないようにあの手この手で対処しようとする二コラの行動が楽しめる映画です。
主語が Je (僕)で始まるセリフが多く、動詞の活用も限られたものしか使われていないので、フランス語の基礎を覚えたての初級学習者でも理解しやすく、楽しくフランス語学習ができるでしょう。
ぼくの好きな先生(Etre et Avoir)
フランス中部のオーベルニュ地方にある小学校でのドキュメンタリー映画「ぼくの好きな先生」。
この小学校では、ロペス先生という一人の先生が一つの教室で、下は3歳から上は11歳までの子供たち13人を教えていました。
ロペス先生は、35年間もの間、教師として働いてきましたが、まもなく定年退職を迎え、教師生活に終止符を打つ日が近づいていました。
年齢が様々な子供たちがいる中で、時には厳しく、時には優しく、態度を変えることなく子供たちに接していたロペス先生。
そんなロペス先生のことを子供たちは大好きでした。ロペス先生が定年で学校をやめてしまうという事実を子供たちはなかなか受け入れられずにいたのです。
ドキュメンタリー映画なので、実際に学校で起こっていることがリアルに映像となっています。
物語は、子供たちが中心で、子供たちが話す言葉も多いので、比較的分かりやすいのが特徴。
また自然なフランス語が使われているため、初級のフランス語学習者に適した映画と言えるでしょう。
コーラス
第二次世界大戦後間もないころに、戦争により親を亡くした孤児や問題児が集まって暮らしていた寄宿舎を舞台にした映画「コーラス」。
寄宿舎生活をしていた元生徒二人の現在のシーンから回想する形で物語が進んでいきます。
寄宿舎の校長は、生徒たちにとても厳しく、何か問題が起こると、体罰という形でしか生徒たちと接していませんでした。
そこに、舎監としてマチューという元音楽教師がやってきます。彼は音楽家として挫折を味わっていたのですが、問題のある子供たちとコーラスを通して心を通わせようとしました。
そんな中、寄宿舎一の問題児であったピエールにマチューは歌の才能を見出します。誰にも心を開かなかったピエールが後に美声を響かせることになったのでした。
時間はかかったものの、子供たちは歌を歌うことで閉ざしていた心を徐々に開き、また音楽家として挫折していたマチュー自身も音楽の素晴らしさを再度認識するのです。
次々と問題が起こる中で、子供たちの美声が映画を見る人達の心に素晴らしく響く作品となっています。
この映画の主体は子供たちなので、言葉が比較的易しく、ゆっくりめで聞きやすいため、特に初級のフランス語学習者に適しているでしょう。
アメリ
https://www.youtube.com/watch?v=ibkS8gzG4wE
アメリという名前の一人の女性の物語の映画「アメリ」。神経質な母親と軍医の父親を両親に持つアメリ。
父親から彼女は心臓が悪いと勘違いされ、学校へも行かしてもらえず、同年代の子供たちとの接触を絶たれてしまいます。
孤独なアメリは、想像力に優れ、空想するのが得意な子供でしたが、このような生い立ち故、人とコミュニケーションを取ることが苦手な子供に成長してしまいます。
そんなアメリが22歳となり、カフェで働きながらパリのモンマルトルのアパートで一人暮らしを始めます。
そのアパートのタイルの中から子供の宝物が入った箱を見つけ、その宝物を本人に返すことを考えたのです。
アパートの以前の住人を探し出すことで、宝物の持ち主にたどり着き、喜ばれたことから彼女は人を幸せにすることに喜びを感じるようになっていきました。
その後アメリ自身にも恋心を抱く人物ができたのですが、アメリの性格上、真向から近づくことができず、遠回りな方法で彼と出会い、幸せを手繰り寄せていくという物語です。
アメリ自身が人とコミュニケーションを取ることが苦手で、空想を得意としていたことから、映画の中身も空想シーンがたくさん出てくるのです。
そのため、物語を理解するのが若干難しい部分があります。空想部分と現実をしっかり見極めて見る必要があるため、初級の学習者よりも中級学習者向けの映画といえるでしょう。
大統領の料理人
フランスの片田舎でレストランを経営していた女性シェフ、オルタンスが、ある日突然フランス大統領のミッテラン氏の専属料理人としてエリゼ宮に迎え入れられるという物語の映画「大統領の料理人」。
男性主体の料理界で彼女は嫉妬されたり、孤立したりするものの、ミッテラン大統領から彼女の素朴な料理が気に入られ、信頼されるようになります。
しかし、大統領の健康管理や料理のために使える経費が削減されたことなどで、彼女が思う大統領のための料理が作れなくなり、心身ともに疲れ果て、やがて大統領の料理人をやめてしまうのです。
そして、南極の基地で料理人として1年間の任期を全うするというお話です。
この映画は、料理が中心となる物語のため、料理用語がたくさん出てくる上、早口の部分があります。
初級者にとっては、まだ馴染みのない言葉が多いので、ある程度色々な分野の単語を知っている中上級者向けの映画といえるでしょう。
最強のふたり
パリに住む富豪のフィリップとその介護人ドリスの物語の「最強のふたり」。
フィリップはパラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまい、介護人が必要な生活を送っているのですが、難しい性格故、雇った介護人がなかなか定着しません。
新しい介護人を依頼することとなり、ドリスという刑務所上がりの男性が面接に来ます。
ドリスは、失業保険を続けてもらうために、不合格の証明が欲しかっただけだったのですが、フィリップは彼を自分の介護人として雇うことにしてしまいます。
ドリスはフィリップの豪邸の中に住み込んで、とりあえず1ヶ月間を試用期間として働くことになりました。
ドリスがフィリップを単なる病人としてではなく、一人の人間として接したことでドリスはフィリップの信頼を得て、1ヶ月後本採用となり、二人は次第に親しくなっていきます。
ドリスは、フィリップの意中の女性に会わせるように取り計らったり、プロのサポートのもと、パラグライダーに乗ったりと二人の絆はどんどん深まっていくのです。
しかし、ドリスが実家に戻らなければならない事態を迎え、フィリップはドリスと別れなければならないことを覚悟するという実話を元にした映画です。
この映画には、フランス語のスラングも多く出てきます。スラングを聞いて内容を理解するといったことは難しいので、中上級の学習者向けの映画と言えるでしょう。
最後に:フランス語の映画を活用して、フランス語の能力を高めよう!
ここでは、映画を活用したフランス語学習のメリット、おすすめの映画を6選紹介しました。
街の中の雑音や人々の話し声などを伴う映画は、実際に日常生活の中で会話をするときにも起こりえるシチュエーションの元で撮られているので、学習者にとってはとても良い教材です。
映画という教材を使うことで、リスニング力、スピーキング力が高まっていくことでしょう。
ここで、もう一度紹介した映画のレベルをまとめておきます。
「プチ二コラ」、「ぼくの好きな先生」、「コーラス」は、子供たちが物語の中心となっている作品なので、比較的フランス語を聞き取りやすく、使用されている言葉も易しいものとなっています。初級者向けの映画です。
「アメリ」は大人の女性を描いているうえに、空想シーンが出てくる部分があるので、フランス語の理解力が上の三つの映画よりも必要となります。中級者以上向けの映画です。
「大統領の料理人」は料理の話なので、料理用語に詳しいか、または長年フランス語を学習していて幅広いジャンルの単語を知っている人向けの映画となります。
「最強のふたり」は、ドリスの言葉にスラングがあるので、スラングを聞き取り、意味が分かる上級者向けの映画です。
フランス語学習者は、自分の学習歴やレベルに合わせて見る映画を選び、色々な表現方法を身に着けていくと良いでしょう。
また、一度見て全ての意味が分からないからといって悲観することはなく、何度か繰り返し見ながらその物語の筋を把握し、楽しみながらフランス語の音声や表現方法に慣れていくことをおすすめします。